2025-05-31

スモールビジネスでも電子証明書は100%取得すべきだけどMacでどうするか

法人の電子証明書は、e-Taxや社会保険手続きの電子化に不可欠です。法務局で取得でき、最長27ヶ月有効。発行には数千円かかりますが、業務効率化を考えると、特にスモールビジネスにとって取得は必須ですので、Macでどのように取得できるのか、説明します。

法務局で取得できる電子証明書って?

電子証明書は、個人や法人の身元を電子的に証明する仕組みです。紙の印鑑証明書に相当するデジタル版のようなもので、インターネット上での本人確認や文書の電子署名に使用されます。マイナンバーカードに格納されている個人向けのものと、法人・団体向けの電子証明書の2種類があり、今回対象としているのは、法務局で取得できる法人向けのものです。

詳しくは「電子証明書取得のご案内」に記載がありますが、ほぼ全ての法人で毎年必要な下記の手続きをデジタル化できます。

  • e-Tax(国税電子申告・納税システム)
  • eLTAX(地方税電子申告)
  • 社会保険・労働保険関係手続

電子証明書は有料ですが、取得に少し時間もかかるので、基本的には27か月での取得をお勧めします。

  • 1か月:500円
  • 3か月:1,100円
  • 6か月:2,000円
  • 9か月:2,900円
  • 12か月:3,800円
  • 15か月:4,700円
  • 18か月:5,600円
  • 21か月:6,500円
  • 24か月:7,400円
  • 27か月:8,300円

スモールビジネスでも電子証明書は100%取得すべき

私は2017年に会社を創業して、最初の2年はどんな手続が必要かも分からず、確定申告含め、聞きながらできるに越したことはないという考えから、電子申請を積極的に行うことはしませんでした。

ただ、平日夜や土日を中心に運営していたので、会社員の本業とのバランスが取りづらくなり、3年目辺りからは積極的に電子化を進めようと思い始めました。1年経つと苦労して進めた手続きの多くを忘れてしまいますが、ログもnotionで毎年取るようにすることで効率が非常に上がりました。

電子証明書は法人の手続きの電子化を行うに当たって、避けては通れないので、設立当初ですと数千円の出費を惜しまれる気持ちも分かりますが、スモールビジネスでも100%取得すべきと個人的には考えています。

MacではParallelsを活用してもオンライン申請ができない

最近はMacでブラウザからできるものも増えましたが、行政手続きをデジタルにしようとなると、基本的にはWindowsが必要になります。電子証明書もオンラインで申請すること自体はでき、非常に面倒そうではあるものの、今後のことも考え、Parallelsを使い、MacでWindowsを起動して行うこととしました。下記の動画を参考にしました。

結論、できませんでした。この動画では、Parallelsでは文字の入力ができず進めなかったとあり、私はコピペでそれを回避することには成功したのですが、ICカードリーダーを繋いで、マイナンバーカードを読み込むことがうまくいきませんでした。Chat GPTに聞いてみると、下記の説明がありました。

Parallels が Apple Silicon Mac にインストールする Windows は ARM64 版。
ICR0009C 本体は CCID 準拠なので「ドライバ不要」とうたっていますが、マイナンバーカードを扱うには JPKI 用ミドルウェア(ドライバに相当)が Windows 内でネイティブ動作する必要があります。
JPKI 利用者ソフトや多くの IC カードリーダー向けドライバは x86 / x64 用のみ。ARM 版 Windows ではカーネルレベルのドライバをエミュレーションできないため動作せず、読み取りエラーになります。

Parallelsで必要書類を作成し法務局に行くことに

いずれにせよMacでは完結せず、Windows PCなり、Parallelsなりが必要ではあるのですが、私はParallelsを使いました。詳しくは「電子証明書取得のご案内」に記載がありますが、「商業登記電子認証ソフト」をインストールし、必要情報を入力すると、下記のファイルが生成されます。

  • 20250509161725ファイル作成結果.txt
  • 20250509161725申請書・委任状.pdf
  • 20250509161725鍵ペア
  • SHINSEI

「20250509161725ファイル作成結果.txt」には、下記の文言が含まれています。

鍵ペアファイルを作成しました。
 (鍵ペアファイルの保存先:ファイル名 C:¥Users¥xx¥Documents¥20250509161725鍵ペア)
鍵ペアファイルは、電子証明書の発行申請後、本ソフトの手順3の電子証明書の取得(ダウンロード)に必要となりますので、厳重に管理してください。電子証明書を取得するには、証明書発行申請ファイル(ファイル名「SHINSEI」)と同時に作成された鍵ペアファイルが必要です。別途、鍵ペアファイルだけを作成しても、電子証明書は取得することができません。また、鍵ペアファイルは、ダブルクリックしても開くことはできません。無理に開こうとすると、ファイルが破損し、電子証明書が取得できなくなる可能性がありますので、ご注意ください。
証明書発行申請ファイル(ファイル名「SHINSEI」)を作成しました。
 (証明書発行申請ファイルの保存先:ファイル名 C:¥Users¥xx¥Documents¥SHINSEI)
【書面申請の場合】証明書発行申請ファイルは、外部媒体(CD−R、USBメモリ等)に保存して、電子証明書発行申請書とともに管轄登記所の窓口に提出又は郵送してください。外部媒体以外の場所に保存した場合は、別途、外部媒体にフォルダを作成せず、直接、証明書発行申請ファイルのみを保存し、管轄登記所の窓口に提出又は郵送してください。
 【オンライン申請の場合】「申請用総合ソフト」を用いて、オンライン申請用の申請書情報を作成し、証明書発行申請ファイルを添付して、登記・供託オンライン申請システムに送信してください。
 また、証明書発行申請ファイルは、ダブルクリックしても開くことはできません。内容を確認したい場合は、本ソフトの「その他の機能」の「証明書発行申請ファイル内容確認」をご利用ください。
 (詳しくは、 http://www.moj.go.jp/MINJI/minji06_00028.html をご覧ください。)
発行申請書・委任状ファイルを作成しました。
 (発行申請書・委任状ファイル保存先:ファイル名 C:¥Users¥xx¥Documents¥20250509161725申請書・委任状.pdf)
【書面申請の場合】この発行申請書・委任状ファイルを使用して、電子証明書発行申請書及び委任状の様式を印刷できます。様式を印刷した後、管轄登記所に提出する前に、注意事項をご参照の上、必要な記載や押印をしてください。
 【オンライン申請の場合】この発行申請書・委任状ファイルは使用できません。
本画面の作成結果の情報をテキストファイルで保存することができます。テキストファイルで保存する場合は、ファイル作成結果保存ボタンをクリックしてください。保存しない場合には、メニュー画面ボタンをクリックしてください。

「20250509161725申請書・委任状.pdf」は法務局に提出する必要があるので、印刷の上、必要事項の記入・押印を行います。

法務局では電子証明書のシリアル番号が記載された「電子証明書発行確認票」が交付されるので、これを受領して、電子証明書をダウンロードするのですが、「20250509161725鍵ペア」は、その際に必要になります。

USBメモリに「SHINSEI」を入れる必要があるのですが、法務局ではUSB Type-Aが使われているので、USB Type-CとType-A両方に対応しているUSBメモリが一つでもあると今後安心かと思います。

法務局に行くのは面倒でも所要時間は30分だけ

書類に不備等なければ、法務局ではその場で「電子証明書発行確認表」という紙が渡されます。私のケースだと、所要時間は約30分くらいで、その後、Parallels経由で商業登記電子認証ソフトにアクセスし、電子証明書発行確認表に記載のシリアル番号と、「SHINSEI」を作成した際に使用した鍵ペアファイルパスワードを入力すると、「20250529123404電子証明書.p12」といった電子証明書をダウンロードすることができます。

商業登記電子認証ソフトの電子証明書の取得画面
商業登記電子認証ソフトの電子証明書の取得画面

取得した電子証明書は、上で登録した電子証明書パスワードとともにアップロードをすると有効になります。例えば、MoneyForwardクラウド社会保険では下記のようになります。

MoneyForwardクラウド社会保険の電子証明書の登録画面(登録前)
MoneyForwardクラウド社会保険の電子証明書の登録画面(登録前)

適切に電子証明書が登録されると、有効期限が取得日から27か月(最長期間)伸びていることが確認できます。

MoneyForwardクラウド社会保険の電子証明書の登録画面(登録後)
MoneyForwardクラウド社会保険の電子証明書の登録画面(登録後)

最後に

個人的には行政手続きもなるべく電子化したいものの、Windows PCを持つことはしたくないと考えています。その点、電子証明書の取得という手続きについては一部法務局への手運用が残ってはしまいますが、取得しなければ他のあらゆる手続きが電子化されなくなってしまうので、最長期間(今だと27か月)での手続きをお勧めします。